補助金は、設備投資や新しい事業へのチャレンジを後押ししてくれる制度です。
一方で、「採択されればすぐに補助金がもらえる」「設備代の半分を国が払ってくれる」といったイメージだけで申請すると、後から想定外の資金負担や手続きが発生することがあります。
補助金を申請する前に、最低限知っておきたいポイントを8つご紹介します。
補助金申請前に知っておきたい注意点8つ

注意点1:採択を保証するサービスでは無い
補助金には審査があるため、当事務所へご依頼いただいた場合でも採択を保証することはできません。
事業計画書の作成支援や申請内容の確認など、採択可能性を高めるためのサポートは行いますが、最終的な採否は補助金事務局等の審査によって決定されます。予めご承知おき下さい。
注意点2:「採択」と「交付決定」は別物です
補助金で意外と知られていないのが、「採択された=申請した補助金額が確定した」ではないという点です。
近年の補助金では、
応募申請
↓
採択
↓
交付申請
↓
交付決定
↓
設備等の発注・契約
↓
補助事業の実施
という流れになる制度が多いです。
採択後の交付申請では、見積書や補助対象経費の内容などが改めて確認されます。
例えば1,000万円の設備を購入し、500万円の補助金を申請して採択されたとしても、その後の審査で一部の経費が補助対象外と判断されれば、最終的な補助金額が450万円や400万円になることもあり得ます。
注意点3:補助金は原則として後払いです
多くの補助金では、
交付決定
↓
設備等の購入・事業実施
↓
代金の支払い
↓
実績報告
↓
補助金額の確定
↓
補助金の入金
という流れになります。
例えば1,000万円の設備投資に対して500万円の補助金が出る場合でも、原則として事業者側で先に1,000万円を支払う必要があります。
つまり、「自己負担は500万円だから500万円用意すればよい」というわけではありません。
補助金を検討するときは、補助金額だけでなく、補助金が入金されるまでの資金繰りも必ず確認しておきましょう。
注意点4:交付決定前の発注・契約には注意してください
補助金によって細かなルールは異なりますが、原則として交付決定前に契約・発注を行ってはいけない場合がほとんどです。
「どうせ購入する設備だから」と先に発注してしまうと、その設備が補助対象外になってしまう可能性があります。たとえば、小規模事業者持続化補助金でも、交付決定日前に発注・購入・契約等を行ったものは補助対象外とされています。
設備投資を予定している場合は、契約書への押印や発注を行う前に、補助金を利用できる可能性がないか確認することをおすすめします。
注意点5:見積書や請求書、納品書、支払証拠が無いと補助金は貰えない
補助金では、「実際にお金を使った」というだけでは補助対象になりません。
見積書、契約書、発注書、請求書、振込記録など、補助事業を適正に実施したことを証明する書類が必要になります。
制度によっては相見積もりが必要になる場合もあります。
また、採択後に「別の設備の方が良さそうだから変更しよう」「発注先を変えよう」と考えることもありますが、変更内容によっては事前の手続きが必要になる可能性があります。
申請した内容と実際に行った内容を勝手に変更しないことも重要です。
注意点6:補助金を受け取った後も手続きが続くことがあります
補助金制度は、お金が入金されたらそこで終了!・・・とは限りません。
制度によっては、その後数年間にわたって事業の成果や売上、付加価値額、賃金などを報告する必要があります。また、補助金で取得した一定の設備については、一定期間、売却・廃棄・譲渡・目的外使用などが制限される場合があります。
賃上げ等を申請要件としている補助金では、計画が未達となった場合に補助金の一部返還が必要となるケースもあります。
「補助金を受け取る代わりに、その後どのような義務を負うのか」まで確認してから申請することが大切です。
注意点7:補助金申請手続きにGビズIDは必須
多くの国の補助金では、電子申請に「GビズIDプライム」が必要です。
オンライン申請などにより比較的短期間で取得できるケースもありますが、申請方法や審査状況によっては時間を要する可能性があります。
「補助金の締切直前にGビズIDがないことに気付いた」ということがないよう、補助金申請を検討している事業者様は早めに準備しておくことをおすすめします。
注意点8:補助金は原則課税→処理方法は事前に検討しよう!
補助金は「もらったお金だから税金はかからない」と思われることがありますが、事業者が受け取る補助金は原則として会計・税務上の収益として扱われます。
一方、設備投資のために交付された一定の国庫補助金等については、要件を満たせば圧縮記帳を利用できる場合もあります。圧縮記帳を利用することで受け取った補助金分の収益額を損金として処理することが可能になります。
補助金を利用した設備投資では、補助金・設備投資・税制をセットで検討することを徹底しましょう。
【重要】補助金ありきで設備投資をしないことが重要です
最後に最も重要なのが、
「補助金がなくても、この設備投資は会社にとって必要か」
という視点です。
「補助率が50%だから買う」のではなく、
「本来必要な1,000万円の設備投資があり、条件に合う500万円の補助金が利用できるのであれば活用する」
という順番で考えるべきです。
補助金を受けるために不要な設備を購入してしまっては、本末転倒です。
また、補助金によっては賃上げ、事業実施後の報告、取得財産の処分制限などの義務も生じます。
当事務所では、単に「いくら補助金がもらえるか」だけではなく、投資採算・資金繰り・税務上のメリットまで含めて、本当にその設備投資を行うべきか検討することをおすすめしています。
