ゼロゼロ融資(コロナ融資)の返済が本格化し、改めて「借入金」「支払利息」に着目するようになった経営者の方も多いのではないでしょうか?
中には、ゼロゼロ融資を返済するための受けた融資の金利が思ったよりも高く、あわててこの記事を見に来た経営者の方もいるでしょう。
今回の記事では、経営/財務分析を行う上で必ずチェックしておきたい「売上高支払利息率」について簡単に紹介していきます。ズバリ、この数字が1%を超えたら危険信号です。資金繰り表を作成し半年~1年先のキャッシュの動向を注視する必要がありますよ!
売上高支払利息率の計算式
計算式は簡単ですね。名前の通り、売上高に対する支払利息の比率です。
売上高支払利息率はCRDランクとの相関関係が強く、財務コンサルタントによっては一番最初にチェックする財務指標です。なぜなら、この数値が一定以上を超えてくるとデフォルト(倒産)する確率がかなり高くなるからですね。
【参考】CRDランクとは?
CRDランクとは、信用リスクデータベース(Credit Risk Database、略してCRD)をもとにして企業の信用リスクを評価するための指標です。日本の中小企業金融機関や保証協会が、企業の信用リスクを評価する際に利用しています。
CRD自体は全国の保証協会・金融機関が企業の財務データや信用情報を提供することによって作成されています。
危険信号とされる一つの目安が1%
CRDビジネスサポート㈱の『業種別に見た中小企業の状況【2021年2月版】』は、この指標の考え方について、次のように記載しています。
売上高支払利息率が1%を超えてくると過剰債務となっている会社が増えてくるイメージです。また、中には営業利益のほとんどが支払利息で食われてしまっている会社もありますね。
イメージですが、売上高支払利息率が1%の状態というのは以下の様なイメージとなります。
- 年商と同額の借入金を年利1%で借りる
- 年商の1/2の借入金を年利2%で借りる
一般的に、適正な借入金の上限は「年商の半分くらい」と言われており、それを超えると「少し借入れが多いかな?しっかり返済できるかな?」という疑問を持たれるようになります。
また、肌感として借入金の上限額は「年商と同額」くらいであり、これ以上になってくると利息と元本の返済でかなり事業運営は厳しくなってきます。
また、中小企業の借入金利は通常1%程度ですが、財務状況が悪化している場合は3%以上になることもあります。これらの点を考慮すると、売上高支払利息率が1%というのは、警戒が必要な限界値であることがわかります。
なぜ売上高支払利息率はデフォルトとの相関関係が高いのか?
CRDスコアモデルにおいて、売上高支払利息率が重要視される理由はなぜかというば、売上高支払利息率が高いとデフォルト(倒産等)しやすいからです。
では、売上高支払利息率が高いとなぜデフォルトしやすいのでしょうか?
それは「利払いはリスケジュールできない」からです。
デフォルトに陥るような企業の場合、営業利益率もかなり薄いです。売上高営業利益率が1%という会社もあるでしょう。そういう会社の売上高支払利息率が2%とか3%だったらどうですか?完全に赤字ですよね。借入利息の返済原資すら稼げてない状況になります。
なお、資金繰りが悪化した際に、利払いすら出来ないとなると延滞扱いされてデフォルト企業にされてしまいますので(*1)、リスケをするにしても利払いだけはなんとか続けるようにしましょう。
*1 一般的に3ヶ月延滞を起こすと期限の利益を喪失し、保証協会付融資は代位弁済が行われますし、プロパー融資なら管理回収セクションに移管されます。
まとめ:売上高支払利息率を下げる方法は?
最後に「売上高支払利息率」を下げる方法を紹介しておきます。これは計算式を見ればすぐ分かります。
答えとしては
- ①売上を増やす
- ②支払利息を減らす
のいずれかもしくは両方を行えば「売上高支払利息率」を下げられます。
つまり、デフォルト率を低くしようと思ったら、結局のところ真面目にビジネスを頑張って売上を増やし、会社の財務体質を良くして借入金利を下げる!これが一番の近道という事になります。
それが簡単に出来たら苦労せんわ!と言われそうですが、予実管理もせず様々なことがガバガバで(ex:経費の無駄遣い、プロジェクト別予算管理出来ていないetc)、自らのクビをしめて事業再生フェーズまで行ってしまう企業は意外に多いです。
みなさんも今一度自社の状況を見つめ直して、できることからコツコツとやっていきましょう!