新設法人が銀行口座を開設する時のポイント・必要書類など

法人口座解説のポイント

法人を新たに立ち上げるに際し、これからのビジネス展開が楽しみでワクワクしている方もいれば、うまくいくか不安に思っている方もいるでしょう。しかし、そんな想いはとりあえず置いておいて、法人を設立したらまずは銀行口座を開設しましょう。

売上の入金や経費の振込等が必要なので、法人名義の口座が無いとビジネスが始まりません!

しかし、個人の預金口座と違って法人の口座開設は審査が厳しく、口座開設時に必要な書類も多いです。

そこで、ここでは新設法人の銀行口座開設がスムーズに行く様に、開設時のポイントや必要書類などについて解説していきます。

目次

法人の銀行口座におすすめの金融機関

法人口座を開設するに当たって、まずはどの銀行で口座開設するかを選ぶ必要が有りますよね。

しかし、銀行と一言にいっても大きく以下の4種類が有ります(金融機関には、銀行以外にも信用金庫や信用組合など色々有りますが、ここでは銀行に限定しています。)

銀行の種類銀行名
都市銀行みずほ銀行・三菱UFJ銀行・三井住友銀行・りそな銀行・埼玉りそな銀行
ゆうちょ銀行ゆうちょ銀行
地方銀行足利銀行・横浜銀行・京都銀行など全国に62行
(詳細は地銀ネットワークサービス参照)
ネット銀行PayPay銀行・ソニー銀行・楽天銀行・住信SBIネット銀行・auじぶん銀行・大和ネクスト銀行・イオン銀行・SBI新生銀行

参考:みずほ銀行・三菱東京UFJ銀行・三井住友銀行の3行を合わせて「3大メガバンク」と言います。

4つの種類から選び、さらにその中から銀行を選ぶ事になるので、「この銀行にしよう!」と決めるのはなかなか難しそうですね。

それぞれの一般的な特徴を見てみましょう。

銀行の種類主な特徴
都市銀行・振込手数料が高い
・審査が厳しめ
・信頼性が有る
・支店が多い
ゆうちょ銀行・支店が多い
・手数料が安い
地方銀行・審査が緩め
・支店が少ない
・地域密着型なので相談がし易い
ネット銀行・振込手数料が安い
・審査が緩め
・24時間リアルタイム決済可能

これらの特徴を基に、口座開設する銀行を選ぶのも良いですね。また、他にも以下のような点も銀行選びの際に役立つでしょう。

  • 本店所在地若しくは代表者の住所から最寄の銀行
  • 個人で住宅ローンを借りている銀行
  • 個人事業で以前から付き合いの有る銀行
  • 口座の維持手数料(インターネットバンキングの利用料など)が安い
  • 海外送金が簡単(海外FXをする方には重要なポイントです)
  • 証券会社等と提携してクイック入出金などに対応している

参考:ネット銀行とインターネットバンキングを混同している方がたまにいますが、インターネットバンキングは都市銀行や地方銀行が提供しているサービスで、振込等の取引がネット上で出来るというものです。

なお、銀行口座は1つでないといけない、という決まりは有りません。必要に応じて複数開設してもOKです。新設法人の場合は、審査に落ちるケースも有るので、2行ほど申し込んでおくのも有りかもしれないですね。

参考にどうぞ
法人の銀行口座を複数開設する必要性は?メリット・デメリットを把握 法人を設立したら、何よりもまず法人名義の銀行口座をつくる事が必要ですが、開設する口座は1つで良いのでしょうか?それとも複数の口座を開設した方が良いのでしょうか?ここでは、法人の銀行口座を複数開設する事のメリットやデメリットについて見ていきましょう。

法人の銀行口座はどれくらい維持費がかかる?都市銀行やネット銀行を比較!

法人の銀行口座の維持費といっても、口座を持っているだけであれば特段費用はかかりません。口座を利用する上で必要となる主なコストとしては、インターネットバンキングの月額利用料と振込手数料が有ります。

都市銀行毎のインターネットバンキング利用料や振込手数料は、以下の通りです。

スクロールできます
銀行名みずほ銀行三菱UFJ銀行三井住友銀行りそな銀行
サービス名ビジネスWEBBizSTATIONパソコンバンクWeb21(デビュータイプ)りそなビジネスダイレク(Mini)
月額基本料3,300円1,760円2,200円3,300円
振込手数料3万円未満
同行同支店:無料
同行他支店:220円
他行:490円
3万円以上
同行同支店:無料
同行他支店:4
40
他行:660円
3万円未満
同行同支店:110円
同行他支店:110円
他行:550円
3万円以上
同行同支店:330円
同行他支店:330円
他行:770円
3万円未満
同行同支店:110円
同行他支店:220円
他行:495円
3万円以上
同行同支店:220円
同行他支店:440円
他行:660円
3万円未満
同行同支店:無料
同行他支店:330円
他行:605円
3万円以上
同行同支店:無料
同行他支店:330円
他行:605円
利用(振込)可能時間平日:8:00~23:00
土曜:8:00~22:00
日曜:9:00~17:00
8:00~23:30(祝日除く)月曜:8:00~24:00
日曜:0:00~19:00
月曜・日曜以外:24時間

※いずれも2:00~4:00は利用不可
平日 :
7:00~23:55 
土日祝:
8:00~22:00

都市銀行を比べただけでも、インターネットバンキングの利用料や振込手数料は結構差がありますね。

次に、主なネット銀行の月額利用料や振込手数料を比較してみましょう。

銀行名PayPay銀行楽天銀行住信SBIネット銀行
月額基本料無料無料無料
振込手数料3万円未満
同行:0円
他行:145円
3万円以上
同行:0円
他行:145円
3万円未満
同行:0円
他行:145円
3万円以上
同行:0円
他行:145円
3万円未満
同行:0円
他行:145円
3万円以上
同行:0円
他行:145円
利用(振込)可能時間24時間365日24時間365日24時間365日

ネット銀行同士では殆ど差が無いですが、都市銀行と比べると圧倒的に手数料が安いですね。また、いつでも利用出来るという点も○です。

口座開設時に必要な書類

新設法人が銀行口座を開設する時に必要となる書類を見てみましょう。なお、以下に列挙しているのは一般的に必要となるものなので、金融機関によっては必要のないものや別途資料を求められるものも有ります。

  • 口座開設依頼書(銀行窓口で入手出来ます)
  • 登記簿謄本(履歴事項全部証明書)
  • 定款(コピー)
  • 法人の実印
  • 法人の印鑑証明書
  • 銀行印用の印鑑
  • 本人確認書類(運転免許証等)
  • 税務署の受付印が有る書類(設立届出書・青色申告の承認申請書・給与支払事務所等の開設届出書)
  • 株主名簿or出資者名簿(設立時の株主は定款に載っているので無くてもOK)
  • 事業所の不動産登記簿謄本(持ち家の場合)又は事務所の賃貸借契約書(賃貸の場合)

以下で、主な銀行の口座開設時に必要となる資料が記載されているページへのリンクを貼っておきますね。

都市銀行

ゆうちょ銀行

地方銀行(2行だけ紹介)

ネット銀行

なお、ソニー銀行では、法人名義の口座を作る事が出来ません。

法人の口座を開設するのに必要な期間

まず口座開設の申請が出来るのは登記簿を取得してからです。登記簿は会社の設立日から大体1〜2週間程度経った頃に取得出来る様になります。

なお、新規設立法人の場合は口座の開設に税務署への届出書類(控)が必要となるので、設立後出来るだけ早いうちに提出しましょう

登記簿を取得して、銀行で必要書類を提出すると審査が始まります。法人の口座は個人の口座と違って、申請した当日には開設が出来ません。口座開設の申込書を提出してから審査が始まり、審査には大体1〜2週間程度かかります。

つまり、会社の設立登記を申請してから口座開設が済むまで、大体3〜4週間程度かかると思っておくと良いでしょう(審査の状況によっては、さらに時間がかかるケースも有ります)。

会社設立後間もなく売上が入金される様な場合は、法人口座開設のスケジュールをしっかりと確認する様にしましょうね。

法人の銀行口座を作るときの審査は厳しい!?

一昔前まで、会社の登記が出来上がってから、銀行に登記簿謄本・印鑑証明書・銀行(届出)印を持って行けばすぐに口座を開設する事が出来ました。

しかし、最近は法人口座が犯罪(振り込め詐欺や投資勧誘詐欺など)に利用されるケースが多く、新設法人の口座開設時の審査は年々厳しくなって来ています。特に、最近では銀行員が実際に本店所在地を訪問する事も有る様ですよ。

甘く考えていると、悪い事をしようと思っていなくても審査に落ちてしまう事が有り得ます。

なお、楽天銀行や住信SBIネット銀行の様なネットバンクは、窓口で担当者と話す訳では無い分審査が厳しいケースも有ります。「法人の実態を確かめる為に自社のホームページが必要です」、と言われその場凌ぎで適当なホームページを作った所、審査に落ちたという例も有る様ですね・・・。

審査に時間がかかったり、審査落ちしてしまう状況と審査に落ちない為のポイント

新設法人が口座開設時の審査に通常よりも時間がかかったり、審査で落ちてしまうのはどの様なケースが考えられるのでしょうか。以下でいくつか見てみましょう。また、審査に落ちない為のポイントも見ていきます。

資本金が少な過ぎる!

会社を設立する時に資本金の金額を決めますが、会社法が施行されて以来最低資本金制度は撤廃され、資本金は1円でも設立出来る様になりました。

しかし、資本金の金額は対外的な信用を得る役割も果たしてくれるので、資本金が少な過ぎると金融機関の信用が得られない事も有ります。

参考にどうぞ
資本金とは?会社設立時に資本金を決める時のポイントも一気に解説! 株式会社を設立するときには、資本金の金額を決めなければならないですが、そもそも資本金って何なのでしょうか。また、資本金の大小は何に影響を与えるのでしょう。ここでは、資本金の意味や会社を設立する際の資本金の決め方などについて見ていきます。

金融機関毎に口座開設時の最低資本金の金額が決まっているでしょうから、予め確認してみるのも良いでしょう。基本的には、資本金が100万円以上有れば審査上は問題ないと考えられている様ですね。

資本金が多くても、他の条件に引っかかって審査に通らない事も有ります。

事業内容や事業目的が不適切or不明瞭

定款や登記簿に大量の事業目的を書いている法人が有りますが、これ自体には別に問題は有りません。後で新規事業をする事になった場合、事業目的として記載していないと、変更登記が必要になり余計な費用がかかりますからね。

しかし、あまりに記載している項目が多過ぎると、審査時に不審がられる事が有ります。

記載している目的が多い場合は、実際に行っている事業内容を説明出来る様に、ホームページやパンフレットなどをを作っておくと良いでしょう。

また、会社の「商号」については当たり障りのないものにしておいた方が審査上は好ましいですね。「FX」や「インベストメント」、「トレード」、「キャピタル」など投資を連想させる様なキーワードは控えた方が良いかもしれません。

事務所の実態が無い!

新設法人が口座開設する場合、(特にメガバンクでは)事業所の賃貸契約書の提出が必要となるケースが多いです。バーチャルオフィスの様にオフィスのスペースがない場合や、固定電話が無い、他の事業者から契約書無しで使用貸借しているといった場合は、事業所の実態が把握出来ない為に審査に落ちる事も有り得ます。

参考:賃貸契約書がない場合には、代わりに法人名義での光熱費の支払明細(領収書)を求められる事が有ります。

また、事務所としての実態が有ったとしても、登記簿上の住所(本店所在地)と違う場所に事務所が有る場合は、口座開設という点では不利です。登記簿上の住所と事務所が違う理由を言える様にしておきましょう。

参考:登記簿上の住所と事業を実際にしている住所とが違う事自体は特に問題有りません。(関連記事:会社の本店所在地の決め方・ポイントと変更時の手続・費用のまとめ

補足:法人銀行口座の名義はどうなる?

個人で銀行口座を作ると、個人名(フルネーム)が名義になりますよね。では、法人で銀行口座を作ると名義はどうなるのでしょうか?

この点、法人の場合は「株式会社○○ 代表取締役○○」という感じで、会社名と代表取締役名の併記が名義となります。

但し、通帳には会社名しか載らないケースも有ります。また、振込時に代表者名の記載は不要です。

参考:楽天銀行の様に、会社名のみ(例:株式会社○○)を名義とする事が出来るネット銀行も有ります。

まとめ

法人名義の銀行口座を作るといっても、数多くある銀行から選ぶのはなかなか難しいですね。

また、法人口座は個人口座と違って審査が厳しいので、新設法人は必ず口座が開設出来るとは言い切れません。審査で落ちて焦らない様に、時間に余裕をもって申込をしたいですね。

なお、銀行の口座が出来上がったら個人の口座に入っている資本金を会社口座に移す様にしましょう。既に設立費用等で目減りしてしまっている場合は、残額を入金すればOKです。

但し、減った分は請求書や領収書等の確認を忘れずに、それらがないと帳簿上つじつまが合わなくなってしまいますよ。

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